入れ歯について

思いは必ず実現する!

2021.7.20

2年前88歳の女性と娘さんが来院されました。娘さんには「入れ歯が痛くて、焼く前の柔らかい食パンの白いところを丸めて食べることぐらいしかできません。母を救って下さい。」と言われました。

患者さんは、88歳にもかかわらず気持ちが大変お元気で「私は20歳から60歳まで身を粉に働き続けました。ほとんど贅沢もせず、老後のために貯金もあります。老い先短いので良い入れ歯で何でも食べれるようにしてもらえませんか。」とお願いされました。

ばあちゃん子なので、恩返しのために今までの歯科医師人生をかけて全身全霊で取り組みました。神様はいるようで思った以上に早く食べれるようになりました。残りの歯を守るために毎月メンテナンスに来ていただき、2か月位経った時に調子を聞いてみましたら、患者さんは「最近の楽しみは、毎朝厚切りのパンを焼いて丸かじりすることです」と嬉しそうに言っておられ、私も少しはお役に立てたとほっとしました。

ところが、1か月前入れ歯が壊れたと来院されました。金属のところが折れていて不思議に思っていましたら、なんと半年前から毎日朝、昼、晩の3回「アーモンド」を食べる習慣ができたそうでおそらく金属疲労と思われます。自分の歯でもアーモンドは大変なのですが、私としてはそこまで食べれていることの方が嬉しかったです。すぐに無料で修理させていただきました。

1週間後突然来院されましたので、何か不具合があったのかと思い対応しましたら手に2つの大きなお菓子を持っていました。入れ歯は大変調子よく、前回無料で修理してもらったのは申し訳ないので、お礼に私とスタッフにと大きなお菓子を持ってきたそうです。

有難くいただき、その日の晩家に持って帰ったら妻も娘も大好きなお菓子で大変盛り上がりました。晩御飯を食べながら、中1の娘が不思議な事を言いました。「お菓子がたくさんあって3人で食べると病気になるので、習い事を一緒にしている友達に半分持っていきたいんだけどどうかな」と。

自分が中1の時は、おそらく全部一人で食べたいと思ったような気がしますが、娘が人のためにしてあげたいと言ったことは、泣きそうなほど嬉しかったです。

仕事とはいえ、全力で取り組み喜んでいただけると幸せは意外なところからやってきますね。

 

 

私の師匠となった患者さんたち!

2021.7.18

歯医者になって約30年になりますが、思い出深い患者さんが数人おられます。

その中でも強烈に覚えている3人を書かせていただきます。

1人目は、80代の総入れ歯の女性の患者さんです。「右下の糸切り歯が1本だけ残っていて何でも食べれていたのに、勝手に抜かれて何も食べれなくなった」というのが口癖でした。

レントゲンを見ると恐らくかなりグラグラしていた歯で、嚙むと痛みが出そうなので抜いて入れ歯を作る方が患者さんのためだと歯科医が判断し、抜歯したと思われます。

私が思うに「歯がある事が人としての尊厳であり、勝手に抜かれて奪われた事がショックである」ように感じました。それ以来患者さんの歯を抜く時は必ず納得しているか聞くようにしていますし、患者さんが迷う時は、抜けるまで待つようにしています。

2人目は、60代の感じの良い入れ歯の患者さんです。人が良さそうな患者さんだったので話しが盛り上がり患者さんの要望をできる限り取り入れることにしました。

不思議とスムーズに進み、入れ歯の嚙み合わせを全く調整することなく何でも食べることができました。その時患者さんに「前の歯医者は、話しが嚙み合わないから入れ歯も嚙み合わなかったが先生は、話しが嚙み合うから入れ歯も嚙み合う」と言われました。

上手いこと言うなと思いましたが、それ以来できる限り患者さんとは会話を大切にするようにしています。

3人目は、70代の女性の入れ歯の患者さんです。3世代で住んでいて、毎日お孫さんがお菓子をくれるそうです。入れ歯の調子が悪く食べれないので、毎回もらってはこっそりと捨てているそうでそれが辛いので、早く入れ歯で食べれるようにしてほしいとのことでした。

私もばあちゃん子だったので、恩返しのつもりでいつも以上に頑張りました。気持ちは伝わるようで、最短で何でも食べれるようになり、患者さんから「何でも食べれるので、自分から孫にお菓子をねだるようになり家庭円満になりました」と言っていただきました。

入れ歯治療は、状況によっていろんなドラマが生まれますね。

 

 

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好きでなったわけじゃない!

2021.7.17

人は日常ストレスが溜まると歯ぎしりすることでストレス発散します。この時歯と歯がぶつかり合いかけて虫歯になり歯を失うパターンと歯がぐらついて歯槽膿漏になって歯が抜けるパターンの2種類あります。

以前世界的に大きな会社の近くで開業していまして、実感したことがあります。会社のお金を何十億動かし自分のスケジュールが忙しすぎて秘書さんが管理している方を何人かみましたが、ストレスが異常なためほとんどの患者さんが歯槽膿漏で歯を失うパターンでした。

その患者さんには「会社のために必死で働いた結果入れ歯になってしまったので、私が責任を持って食べれる入れ歯をお作りします」とお話しすると涙ぐむ患者さんもおられました。

入れ歯と言ってもいろんな事情があるので、その時に誠心誠意尽くすことが大切な気がします。

 

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歯並びと入れ歯の関係

皆さん、8020運動をご存知でしょうか。80歳で20本以上の歯を残しましょうということです。

習っている教授のデータによりますと、8020を達成した方の嚙み合わせをチェックしましたらなんと出っ歯や受け口、顎が曲がっているなど一般の人が見て嚙み合わせがおかしいと思うような人はほとんどいなかったそうです。私の患者さんで8020達成した患者さんの嚙み合わせをチェックしましたら、ほとんどの患者さんが嚙み合わせはきれいでした。

ここからは私の考察ですが、嚙み合わせが悪い人は途中で歯が抜けてしまい「入れ歯」になっているのではと思います。いかがでしょうか。

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入れ歯(義歯)について

皆さん「義手」や「義足」をご存知でしょうか。「義手」は手の代わりで、「義足」は足の代わりでその人にとって大変大切なものですよね。

入れ歯は専門用語で「義歯」と言い、私は「義手」や「義足」と同じように大切なものだと思っていますが、なぜか物作りのようになっています。私は母子家庭で育ち、大学まで祖母に学費を出してもらいました。

祖母が総入れ歯で困っていたので、39歳の時40代1つ何か極めようと思い、日本一入れ歯の上手な師匠に10年間弟子入りしました。師匠にも認めてもらい趣味は「入れ歯作り」といえるまで楽しくなりました。

祖母は95歳で亡くなり、まだまだ「ばあちゃん孝行」はできていないので、目の前の入れ歯の患者さんに全身全霊尽くすことが恩返しだと思っています。

入れ歯で困っている方がおられましたら、心を込め、魂を込めて入れ歯作りに励んでいますので、1度来院されてみてはいかがでしょうか。

 

 

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